工場の清掃用品や5S備品は、単なる消耗品ではありません。ほうき、モップ、ウエス、油吸着材、ゴミ箱、表示テープ、ラベル、棚札の選び方で、現場の「片付けやすさ」は大きく変わります。
5Sが続かない工場では、社員の意識だけが原因にされがちです。しかし実際には、掃除道具の置き場が遠い、油汚れに合う用品がない、使った後の戻し場所が曖昧、補充担当が決まっていない、といった仕組みの問題が多くあります。
5S備品は「続けやすさ」で選ぶ
社長が見るべきポイントは、きれいに見える用品を買うことではなく、現場が短時間で元に戻せる状態をつくることです。1回の大掃除で終わる用品より、毎日3分で使える用品の方が価値があります。
| 用品 | 役割 | 選び方 |
|---|---|---|
| ほうき・ちりとり | 切粉、紙くず、粉じんの回収 | 工程別に長さ、毛質、置き場を分ける |
| モップ・ワイパー | 床の汚れ、油、水分の除去 | 油汚れ、水濡れ、食品系で使い分ける |
| ウエス・クロス | 機械、作業台、治具の拭き取り | 色分け、使い捨て、洗濯管理を決める |
| 油吸着材 | 油漏れ、切削油、床汚れ対策 | 吸着量、廃棄方法、常備場所を確認する |
| 表示テープ・ラベル | 置き場、通路、危険箇所の見える化 | 剥がれにくさ、床材、色ルールを見る |
| ゴミ箱・分別容器 | 廃棄物の分別と回収 | 金属くず、紙、油付き、一般ごみを分ける |
候補になる購入先
清掃用品は、ホームセンターで買い足すより、品番管理できる購入先を決めた方が運用しやすくなります。アスクルは業務用日用品や清掃用品、衛生用品、現場用品を幅広く扱い、大容量品や定期的な補充に向きます。ミドリ安全は清掃用品、安全衛生保護具、食品工場向け衛生用品まで扱っており、現場の安全管理と合わせて整えたい会社に向きます。
食品、医薬、精密部品のように異物混入や衛生管理が重要な工場では、色分け、使い捨て、専用区域、洗浄剤の管理まで考える必要があります。ミドリ安全の食品業界向け情報では、衛生対策、異物混入対策、安全対策の用品が整理されています。
買う前に決めるべきルール
- 清掃道具の置き場を工程ごとに決める
- 床、機械、作業台、トイレで用品を分ける
- 色分けルールを決める
- 補充担当と発注点を決める
- 油付きウエスや廃棄物の処理方法を決める
特に「戻す場所」は写真で示すのが有効です。清掃用品の置き場をラベル化し、使った後に同じ状態へ戻せるようにすると、5Sは注意ではなく仕組みになります。
現場でよくある失敗例
5S備品の導入でよくある失敗は、最初に立派な棚や表示を作りすぎることです。写真を撮った日はきれいでも、1週間後にはほうきが別の場所に置かれ、ウエスが補充されず、床テープが剥がれたままになります。これは現場の意識が低いというより、維持する仕組みが決まっていない状態です。
たとえば、切削工程では油と切粉が出ます。組立工程では細かい梱包材や紙くずが出ます。検査室ではほこりや指紋を嫌います。同じ清掃用品を全工程で使い回すと、汚れを広げることもあります。工程ごとに「何を取り除くのか」を決めてから用品を選ぶ必要があります。
最初の1か月で見る指標
- 清掃用品が決めた場所に戻っているか
- 消耗品の欠品が起きていないか
- 床の油、水、切粉が放置される時間が短くなったか
- 工場見学前の慌てた片付けが減ったか
- 社員から「これは使いにくい」という声が出ているか
最後の「使いにくい」という声は悪いことではありません。用品が現場に合っていないことが早くわかるからです。5S備品は一度買って終わりではなく、現場に合わせて入れ替える前提で考えた方が定着します。
関連記事として、採用見学の印象を整えるなら「工場見学用の安全備品セットを整える」、若手定着の視点なら「若手が辞めにくい工場に共通する設備・備品の考え方」も合わせて確認してください。
導入が向く会社・向かない会社
| 向く会社 | 向かない状態 |
|---|---|
| 掃除道具が各部署でばらばらに買われている | そもそも清掃時間が決まっていない |
| 油汚れや切粉で床が汚れやすい | 廃棄ルールが決まっていない |
| 工場見学や採用見学を増やしたい | 置き場を決めず用品だけ買おうとしている |
よくある質問
Q. 5S備品は最初に何から揃えるべきですか。
A. まず清掃道具、表示テープ、ラベル、分別容器です。高価な棚や収納より、毎日使う道具を工程ごとに置ける状態にする方が先です。
Q. 色分けは必要ですか。
A. 食品、精密、油汚れ、トイレ、作業台など用途が混ざると困る現場では有効です。色分けだけでなく、置き場と用途表示もセットにします。