小規模工場で原価管理システムを導入する前に、社長が確認すべきことがあります。それは「今、どの単位で利益を見たいのか」です。製品別、受注別、ロット別、案件別、工程別のどれで見たいかによって、必要なシステムは変わります。
原価管理は、会計ソフトの数字を眺めるだけでは進みません。材料費、外注費、労務費、機械時間、間接費をどこまで現場データとつなげるかが問題になります。システムを入れても、作業時間や材料使用量が記録されていなければ、原価は見えません。
原価管理で最初に決める単位
| 見たい単位 | 向いている会社 | 必要なデータ |
|---|
| 製品別 | 標準品や繰り返し品がある会社 | BOM、標準時間、材料単価 |
| 受注別 | 多品種少量、個別受注の会社 | 受注番号、材料、外注、作業時間 |
| ロット別 | 食品、化学、医薬、量産部品 | ロット、配合、歩留まり、検査情報 |
| 案件別 | 装置、金型、制御盤、試作 | 見積、購買、工数、外注、設計費 |
候補になるシステム
アミックのSTRAMMICシリーズは、製造業向け基幹業務システムとして、生産管理、調達管理、原価管理などの製品構成を持っています。食品、医薬品、化学品などのプロセス製造にも、加工組立型にも対応する製造業向けERPとして検討できます。
OBIC7生産情報システムは、複数の生産形態や手配方式に対応し、親子製番による原価管理や製番別の配賦などを案内しています。生産、販売、会計を一体で見たい中堅以上の会社に向きます。
ACROSSは、個別受注生産の製造業向け原価管理システムとして、産業用機械、工作機械、金型、試作などを対象にしています。個別案件ごとの原価を追いたい会社は候補にできます。
導入を急がない方がよい状態
- 見積書の材料費と工数の根拠が残っていない
- 作業時間を誰も記録していない
- 外注費や購入品が受注番号と結びついていない
- どの製品が赤字か社内で仮説がない
- 現場入力を誰が行うか決まっていない
この状態では、まずExcelでもよいので代表的な受注を10件選び、見積、材料、外注、作業時間、粗利を並べるところから始めます。原価管理システムは、その整理を継続するための道具です。
原価管理を始める最小ステップ
小規模工場では、最初から厳密な原価計算を狙わなくてよい場合があります。まずは、赤字になりやすい受注を見つけるための簡易管理から始めます。見積時に想定した材料費、外注費、作業時間と、実績を並べるだけでも、値決めの甘さや作業時間の見込み違いが見えます。
| ステップ | やること | 目的 |
|---|
| 1 | 代表受注10件を選ぶ | 傾向を見る |
| 2 | 見積原価と実績原価を並べる | 差額の原因を探す |
| 3 | 材料・外注・工数に分ける | どこでずれたかを見る |
| 4 | 赤字案件の共通点を出す | 値上げ・見積改善の材料にする |
| 5 | 必要ならシステム化する | 継続的に管理する |
この順番を飛ばしてシステムを入れると、画面は立派でも入力する数字がありません。原価管理システムは、社長が数字を見るためだけでなく、営業、設計、現場、購買が同じ前提で判断するための仕組みです。
値上げ交渉との関係
原価管理は、値上げ交渉の準備にも直結します。材料費が上がった、外注費が上がった、段取り替えが多い、検査工数が増えた。これらを感覚ではなく数字で示せると、取引先への説明が変わります。今後は「製造業の値上げ交渉で社長が準備すべき資料」と内部リンクさせることで、収益改善テーマの柱にできます。
よくある質問
Q. 会計ソフトだけで原価管理できますか。
A. 会社全体の利益は見られますが、受注別・製品別の原価を見るには、現場の材料、外注、工数データが必要です。
Q. 小規模工場でも原価管理システムは必要ですか。
A. すぐに必要とは限りません。ただし、見積と実績の差が大きい、値上げ交渉の根拠がない、赤字案件が見えない会社では検討価値があります。
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